
自閉スペクトラム症(ASD)とは
発達障害の1つであり、生活に困難を抱えながらも表には出にくく、社会的コミュニケーションや対人関係、こだわりの強さの特性が見られます。これらの特性があることで生活に支障をきたし、不適応からうつ状態などの二次的な問題につながる可能性もあります。また、注意欠如・多動症(ADHD)などの他の発達障害や、他の精神疾患、身体疾患が併存していることも多くみられます。

当院では大人になってから症状が目立ってきた自閉スペクトラム症の方を治療対象としています。
自閉スペクトラム症の原因
はっきりとした原因はわかっておりませんが、生まれつきの感情や認知などに関係している脳機能の異常とされています。また、遺伝や環境の双方も関与して起こりますが、育てられ方が原因で起こるものではありません。
自閉スペクトラム症の症状
(1)社会的コミュニケーション、対人関係の問題
- 日常の会話のやり取りが苦手
- 他の人と感情を共有することが難しい
- 相手の表情、動作から気持ちを読み取るのが難しい
- 目の前にないものや、架空の事柄を想像したり、空想することが難しい
- 仲間に対する興味が薄い
(2)こだわりの問題
- 物を並べたり、叩くといった単調な行動を繰り返す
- 同じ習慣への強いこだわりがあり、少しの変化にも苦痛に感じる
- 興味の範囲が狭く、特定のものにこだわる
- 聴覚、嗅覚、触覚、視覚など、特定の感覚が非常に敏感または鈍感
自閉スペクトラム症の治療法
自閉スペクトラム症の中核症状を改善できる薬はなく、 根本的な治療法も見つかっていませんが、症状を軽減する治療法や対処法はあります。 環境調整や心理療法、特定の症状や合併している症状に対しては薬物療法を行う場合があります。
- 1環境調整
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職場などの仕事内容が特性に合わないと不適応によるストレスから二次的な障害を引き起こすことがあります。苦手な状況を減らしたり、周囲の協力により職場や家庭で困りごとが生じにくくなるように、生活面のアドバイスを行います。
- 2薬物療法
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自閉スペクトラム症に認められる症状、併存する精神疾患やその症状に応じて、抗うつ薬や抗精神病薬などを使用することがあります。