うつ病とは
うつ病とは精神的な症状や身体的な症状が、ほとんど1日中、毎日続くため生活に支障が出てしまう疾患です。精神的な症状には、気分が優れず強く落ち込んだり、思考のめぐりが鈍くなったり、やる気が起きないなどがあります。身体的な症状には、寝ているのに疲れが取れない、体が重く感じる、食欲・体重の変動、不眠などがあります。
うつ病は自然に改善することは難しく、時間の経過とともに重症化することもあります。そのためうつ病では、できるだけ早く治療を開始したほうが良いと考えられています。
うつ病の原因
うつ病の原因は気質、環境、遺伝など様々ですが、ストレス(転職や引っ越し、人間関係)や喪失感(友人や親近者との死別、離婚や病気)なども大きく影響しています。また、気質的な原因の一つに性格の特徴があります。変化に適応するのが苦手、人に頼まれると断れない、責任感が強い、周囲からの評価を過剰に気にするなどの性格の方は、ストレスの許容量を超えてしまい、うつ病を発症しやすいと言われています。
うつ病の症状
うつ病の症状は、精神面だけではなく、身体面にもあらわれます。
このような症状が長引くと会社に行く事ができない、家事が手につかない、考えがまとまらずミスをするなどの状態になってしまいます。
1) 精神症状
- 気分が優れず強く落ち込む
- 思考のめぐりが鈍くなる
- 些細なことでもイライラしてしまう
- 理解・判断力が低下する
- 何事もおっくうでやる気が起きない
- 物事に対する興味や喜びが起きない
- 死について考えてしまう
2) 身体症状
- 寝ているのに疲れが取れない
- 体が重く感じる
- 食欲の減退または増加
- 体重の減少または増加
- 不眠または過眠
- 頭重感、頭痛、めまい、胃腸の不調
- 肩こり、背中や腰などの痛み
うつ病の治療法
うつ病の治療は、重症度の把握が重要で、症状の程度に合わせて休養、薬物療法、心理療法などの治療を組み合わせて行います。
- 1休養・環境調整
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「自分が頑張らなくてはならない。周りの人に迷惑をかけられない」と考えて、仕事や学校などを休むことに消極的になりがちです。しかし、心身の休養を取るために「思い切って休む」ことで負担を減らす方が、多くの場合は早い回復につながります。休養中は規則正しい生活、健康的な食事を心がけ、アルコールなどは控えめにしましょう。治療初期は無理に気分転換をしようとせず、心身の回復を最優先にして下さい。
- 2薬物療法
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軽症の場合には、対処療法として抗不安薬、睡眠薬、漢方薬などを必要に応じて少量から処方します。中等度以上の場合には、抗うつ薬による治療が第一選択となります。その場合でも効果が高く安心して服用できる抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)を優先的に処方します。効果が不十分な場合には、様々な薬剤を組み合わせ、症状の改善を図ります。
- 3精神療法・心理療法
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治療初期は共感・受容を中心とした支持的な精神療法、生活面のアドバイスを行います。症状が改善傾向となってからは、ストレスに対応する力やコミュニケーション能力の向上を図り、考え方を柔軟にするための認知療法的アプローチを行います。