適応障害とは
適応障害は生活上のストレスに対する反応が強く現れて、気分が落ち込んだり、不安感が強くなったり、涙もろくなったりして仕事や家庭などでの日常生活に支障をきたしている状態です。
適応障害の原因
適応障害の主な原因はストレスです。
ストレスには、仕事(過重労働、転職、転勤、異動、人間関係)、家庭(家族との不仲、嫁姑問題、介護)、健康面(がん、難病)などがあります。また、一般的には良いこと(入学、就職、結婚、昇進)でも人によってはストレスになることがあります。ストレスの許容量は、性格や生育環境、対応力など人によって大きく異なります。ストレス耐性が低いと適応障害になりやすいとされています。
適応障害の症状
適応障害の症状には精神面と身体面での症状があります。
不安、落ち込み、意欲の低下、イライラ、過敏などの精神面での症状のほか、不眠、食欲不振、倦怠感、胃腸の不調、頭痛、吐き気などの身体症状があらわれることがあります。例えば職場で強いストレスを感じている方の場合、職場に行けなくなってしまうこともあります。また、暴飲暴食をしたり、人と会うことを遠ざけてしまうこともあります。放置しているとうつ病に進展することもあります。ただし、うつ病とは異なり、原因となっているストレスが解消すれば、症状が軽快することが期待できます。
適応障害の治療法
適応障害の治療は、根本にあるストレスを解消することが最も効果的です。それが難しい場合は症状に合わせて休養、薬物療法、心理療法などの治療を行います。
- 1休養・環境調整
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「自分が頑張らなくてはならない。周りの人に迷惑をかけられない」と考えて、仕事や学校などを休むことに消極的になりがちです。しかし、心身の休養を取るために「思い切って休む」ことで負担を減らす方が、多くの場合は早い回復につながります。休養中は規則正しい生活、健康的な食事を心がけ、アルコールなどは控えめにしましょう。
- 2薬物療法
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対処療法として抗不安薬、睡眠薬、漢方薬などを必要に応じて少量から処方します。うつ症状が強い場合には、効果が高く安心して服用できる抗うつ薬(SSRI、SNRI、NaSSA)を処方する場合もあります。
- 3精神療法・心理療法
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適応障害は環境と個人との不適応により起こるため、環境調整に加えてストレスに対応する力やコミュニケーション能力の向上を図ります。共感・受容を中心とした支持的な精神療法、生活面のアドバイス、考え方を柔軟にするための認知療法的アプローチを行います。